子どもと関わる仕事はとても魅力的なため、一度社会人になってから保育士になりたいと思う方も少なくありません。
保育士資格には年齢制限がないため、多くの人にキャリアチェンジのチャンスがあります。
本記事では、社会人が保育士を目指すためにできることと、転職のポイントについて解説します。
保育士に憧れている方は、ぜひ参考にしてください。
社会人が転職して保育士を目指すには
保育士資格を取得するには、大きく分けて2つの方法があります。
働きながら資格取得にチャレンジできる方法もあるので、自分に合う方法を探して勉強するのがポイントです。
それぞれ順番にご紹介します。
1.保育士試験にチャレンジする
保育士資格は、養成校などに通って取得するものと思っている方もいるかもしれません。
しかし実際は受験資格さえあれば、年に2度開催されている保育士試験に合格することでも取得が可能です。
受験資格や試験内容
保育士試験の受験資格は、原則最終学歴で決まります。
例えば、4年制大学や短期大学、専門学校を卒業していれば、保育に関する学科で学んでいなくても保育士試験を受験可能です。
ただし、受験資格に該当する学歴がないからといって受験できないわけではありません。
その場合は、都道府県知事の認定を得たうえで、指定の条件を満たせば大丈夫です。
例えば、高校を卒業し、認定こども園や幼稚園といった施設での実務経験が2年以上(総勤務時間数2,880時間以上)になると受験できます。
試験内容は、筆記試験と実技試験です。
まずは2日間で8科目の筆記試験を行い、すべての科目に合格した人が実技試験へと進みます。
実技試験では音楽、造形、言語の3つのテーマが用意されており、この中から2つを選んで受験します。
出典:全国保育士養成協議会「受験資格詳細」https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qualify/detail.html (2022/12/14)
出典:全国保育士養成協議会「保育士試験とは」https://www.hoyokyo.or.jp/exam/about/index.html(2022/12/14)
出典:全国保育士養成協議会「令和4年度実技試験概要」https://www.hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/45.html(2022/12/14)
保育士試験で資格を得るメリット・デメリット
保育士試験で資格を得るメリットは、学費や通学する交通費といった金銭的な負担を抑えられることと、自分のペースで好きな時間に勉強に打ち込めることです。
特に働きながらであれば、仕事のスケジュールとの兼ね合いを考える必要もあります。
保育士試験で資格を得るのであれば、空いた時間で無理なく勉強できるので、生活リズムも作りやすいでしょう。
一方デメリットとしては、年に2回しか試験が行われないため、8科目すべての筆記試験に合格するまで時間がかかってしまう可能性があることが挙げられます。
一度合格した科目は3年間のみ有効となるため、一部科目が落ちてしまった場合は、計画的に試験に再チャレンジする必要があるでしょう。
また試験で資格を得ると、保育現場での実習を経験できません。
現場だからこそ身に付く視点や保育士の仕事などは、保育士として就職するまで具体的なイメージがしにくいでしょう。
出典:全国保育士養成協議会「免除・一部科目合格の有効期限について」https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qa/05.html(2022/12/14)
2.保育士養成校を卒業する
「自力で保育士試験に受かるのは難しそうだな」という方には、保育士養成校での資格取得がおすすめです。
養成校の種類
保育士養成校は、4年制大学、短期大学、専門学校の3種類です。
基本的には卒業まで2-4年の期間が必要となるため、保育士になるという覚悟を持って通い始める必要があるでしょう。
また、4年制大学や短期大学、専門学校の場合は日中の通学が必要です。
仕事との両立が難しくなってしまうため、働きながら養成校に通いたい場合は夜間コースや通信制のある学校を選びましょう。
夜間コースであれば夕方からの授業になるため、日中はお仕事も可能です。
また通信制は課題の提出と指定された日に登校するだけなので、基本的には自由な時間に勉強できます。
養成校で資格を得るメリット・デメリット
保育士養成校で資格を得るメリットは、卒業と同時に資格を得られることです。
また教師や就職相談担当の職員とも直接話ができるため、分からないことや不安なども相談しやすいでしょう。
一方でデメリットは、学費が高くなることです。私立短期大学であれば、入学料や授業料、施設設備費などでおよそ100万円かかります。
そのうえ実習費など追加でかかる費用もあります。
また、学校側が決めたスケジュールに合わせて通学も必要です。
日中の時間は特に、仕事との兼ね合いで通学が難しいことも多いでしょう。
出典:文部科学省「令和3年度私立短期大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)」https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_1.pdf(2022.12.15)
社会人が保育士に転職する場合のポイント
いざ保育士資格が取得できても、就職が決まらなければ困りますよね。
スムーズに転職するためにも、ここからは押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。
保育士補助として経験を積む
保育補助者とは、保育準備や保育日誌の記入、行事の準備・当日対応などを保育士と一緒に行う人のことです。
資格がなくても働けるため、資格取得を目指しながら現場経験も積めます。
保育補助者としての現場経験があれば、転職の際に全くの未経験者よりも有利になるでしょう。
また保育士資格を取得した時も、ある程度の経験がある状態からのスタートとなり、自信を持って保育できるようになるはずです。
出典:(公社)兵庫県保育協会「令和4年度保育補助者雇上費貸付の手引き(保育人材確保対策貸付事業)」令和4年4月,https://hyogo-hoikukyokai.or.jp/pdf/loan_business/tebiki_hiring_expenses_r4.pdf(2022.12.14)
早めに保育士資格を取る
保育士資格を取得するにも、保育士として働くにも、特に年齢制限はありません。
しかし現状は、保育士として働く人の平均年齢は30歳未満が32.9%、30代が25.6%で、40歳未満の人が全体の半数を占めています。
保育士は体力も必要な職業であるため、なるべく若いうちに資格取得した方が長く活躍できるかもしれません。
出典:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」令和2年8月24日,
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf(20222.12.14)
保育士資格を取得して社会人から保育士を目指しましょう
保育とは全く違う仕事をしている人でも、保育士試験を受けたり養成校に通ったりすることで保育士になるチャンスはあります。
無理なく勉強を進められるよう、ご自身に合った方法を選んで勉強を始めましょう。
また転職のことも見据えて、まずは保育施設で保育補助者として経験を積んだり、なるべく若いうちに資格取得したりすることをおすすめします。
保育士になりたい人は、本記事を参考にしながら、自分に合った方法でぜひチャレンジしてみてください。